写真:末房さん夫妻が桃を持ち微笑んでいる様子1

県内就農者紹介

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和歌山県農業大学校社会人課程果樹科受講

出身地:大阪府前職:ホテルで料理人・パティシエ

「美味しい!」と喜ぶ顔が、一番の原動力です。

末房さん

農業をはじめたきっかけは何ですか?

僕は、人が美味しいって喜ぶ顔を見るのが、すごく好きなんです。

だから、和歌山で農業を始める前は、ホテルの料理人を8年、そのあとはパティシエをしていました。なぜ、途中でパティシエに転職したかというと、料理を出すとき、お客様の反応が一番良いのって「デザートを出すとき」だったから。

専門的なお菓子作りを勉強し、その後は10年以上、パティシエとして働いていました。ですが、やっぱり長く働くと管理職となり、お菓子作りではなく、数字を追うのがメインの仕事になってきて、どこか矛盾を感じていて。

「美味しいものを作って、誰かを喜ばせたい」という想いを突き詰めたとき、農業って面白いんじゃないかと思ったんです。

もともと、物を作ることが好きでしたし、パティシエという仕事上、仕入れなどで農家さんにもよく会っていたので。

パティシエをやっていた経験も活かして、「農業」だけでなく、規格外品を使った加工にまで携わるなど、イチから全部やりたいと思って、農業の世界に飛び込みました。

就農準備について

写真:末房さんが桃を眺めている様子2

僕は田舎出身で、ゆくゆくは田舎で暮らしたいという思いもあったので、ある程度の蓄えはしてました。無収入でも家族が2年生活できる貯蓄と、別に農機具などを買うための開業資金300万円ほどを用意しました。

農地については、農林大学校で「師匠」と呼べる方に出会い、その方に色々と紹介してもらいました。木ごと付いてる畑を貸してくれる方がいらっしゃったり、高齢で自分は作らなくなったという畑を聞いて借りさせてもらったり、更地を借りたりしました。

僕の場合は、農地より住宅を見つけるのが大変でしたね。空き家も少なく、アパートやマンションも3つぐらいしかなかったので。なので県の方でそういった情報(わかやま空き家バンクなど)を提供してくれるのはとてもありがたいですね。

就農する上で役に立ったサポート制度はありますか?

和歌山県で独自に行っている「就農特待制度事業」(平成29年度で終了)という制度を利用させていただきました。毎年、県で3人だけというもので、初年度に100万円の助成をもらいました。やはりこのような制度は助かりますね。

また、和歌山県の農林大学校の授業を受講したこともとても助かっています。
そこの先生方が、桃山町で農業に携わる方をたくさん紹介してくれて、それが足掛かりで今に至っています。本来であれば知り合いもいなかったので。
農林大学校では同期と呼べる仲間もでき、それぞれ作っている作物が全然違うので、お互いに忙しいときに手伝い合いをしたりしています。

家族のサポートはありましたか?

写真:末房さん夫妻が桃を眺めている様子

妻はもともと、都会生まれ・都会育ちの都会が好きな人。

だから、「田舎に住む」ということに抵抗があったようです。逆に、収入面での不安は一切なかったみたいで、今は農業を一緒に手伝ってくれています。
僕も気づかなったのですが、こっちに来て3年後ぐらいに、「実はすごい不安だった」という話を聞きましたが・・・
今は、妻のサポートにとても助けられています。
普段、産直市場や個人で販売しているので、女性の目線での商品の売り方や意見はすごく大切だなと思います。並べ方やちょっとした気遣いなど、男の人には気付かないところに女性は気づいてくれるので。

こうした方が良いというアドバイスを貰えるのはすごく良い存在です。

農業のやりがいはなんですか?

農業限定じゃないかもしれないですけど、自営業なので努力すればした分だけ、ストレートに成果が自分に戻ってきます。
特に伝えたいのは、農業は「きつい」「汚い」「儲からない」といったネガティブなイメージを持たれることが多いかもしれませんが、正直、そんなことはありません。
桃の場合、一から植えた木が経済的にお金儲けになるのは5年後になるので、当初は儲けは少ないです。そのときの生活は厳しかったですけど、今は初年度に植えた桃の木は大きくなり稼ぎ頭になってくれています。このように成果が現れるとやはりやりがいを感じますね。

新規就農を目指す方へのアドバイス

写真:末房さんが話している様子

まずは、その地域に馴染むことから始めてほしいです。

現地で、先輩農家の方たちが作っている方法の真似をして、その地域の「慣行栽培」を覚えることが農業の第一歩。

同じ和歌山県内でも地域によって作り方が全然違います。「自分はこんな桃が作りたいんだ」と言って、周りと違うやり方をしても、上手くはいきません。

長い間、この土地で桃を育ててきた先人たちのノウハウをしっかり学ぶことが、基本だと思います。

他府県からこちらに移住してきて、一番に感じたのは「地域の方の親切さ」です。
いったん馴染むと、都会では考えられないくらい優しく助けてくれるので、本当に感謝しています。

写真:末房さんが桃を眺めている様子3

今後の農業経営の目標

規模をまだまだ大きくしたいですね。今は稼働面積が1町9反ぐらいですが2町7反ぐらいまでは大きくしたいです。
そのために、採用にも力を入れていきたいです。